荒井明夫ブログ

森友学園問題─忘れられているもう一つの側面
    森友学園問題であまり奉じられていないもう一つの側面について考えてみたい。
 教育学を少し学んだ者ならば、世間では殆ど見過ごされている問題に気づく。国営地の巨額な値引き問題、近畿財務局の関与、佐川理財局長(当時)の書き換え圧力問題等があるが、私学の設置認可関係の問題があることが見過ごされている。整理して論じておきたい。
第一は、大阪府の対応の問題。大阪府・私学審議会は、2015年1月に森友学園開設申請予定の小学校を、府の基準を満たしていないにもかかわらず強引に「認可適当」とした。2017年4月には開校するところまで進んでいた。疑惑が大問題となったため直前の3月に学園側が取り下げた。つまり、大阪府・私学審議会の問題。当時、松井一郎知事は認可事務を担当する私学課長に何度も会っていたというし、時の私学審議会会長は教育学の梶田叡一先生。森友学園の教育内容の異常さに気づかないわけない。それとも・・・何らかの金が動いたのだろうか・・・関係者は明確に否定できるのだろうか。
  第二に、橋下徹大阪府知事の時代におこなった認可基準の緩和問題。私学は、明確な教育ビジョンを持った篤志家が自分の私財を拠出してつくるもの。この歴史的経緯の中で、学校を設置する土地建物は自前でなければならない、設立資金は自己財産でなければならない、という認可基準があった。当時の橋下知事は参入障壁を低くし学校を多く作ることができるよう、つまり借金でも学校を作れるように大阪府の設置認可基準を変更した。この借金でも学校を作れるという仕組みを利用したのが森友学園である。
 しかも森友学園以後もこの例はない。憶測だが、森友学園のための規制緩和だったのではないかと思ってしまう訳である。
 それとも・・・金が動いたのか。関係者は否定できるか。
 第三は、小学校の校舎建設が維新の府会議員が紹介した会社が請け負ったという問題。大阪府の私学課は様々な圧力を受け認可するところまで追い込まれる。しかし森友学園側はあまりに財政状況が悪く、ここに値引き問題が発生する。財務局が登場し、このままでは認可できない、それでは総理夫人の面目丸つぶれだと。こんな財務状況のところに認可できるわけがない、と。
 森友問題の全体構図の中で、私学設置問題が大きく取り残されていると考えるが。