史資料

当面の研究課題と紹介する史資料

私がすすめている当面の研究課題と、本欄で紹介したいと思っている史資料の概要をお伝えします。

第1。就学史研究です。各府県の「就学規則」を調査・収集し、分析します。この研究の意義については「研究活動」欄で詳述します。本欄では、各府県の就学規則について随時紹介していきます。

第2。防長教育会の成立の研究と山口高等中学校の設立と性格に関する研究です。防長教育会の設立と山口高等中学校の設立に関する教育史的意義を明らかにしうる史料を紹介します。

第3。戦没学徒兵手記『きけわだつみのこえ』に関する研究です。紹介できる史料はほとんどありませんが、刊行された史料を紹介し、研究につほいねては「研究活動」欄で詳述していきます。

第4。ほとんど未着手ですが、徴兵令認定学校の研究です。少しずつ現地史料を収集してきました。これも紹介したいと思います。

このほか、今論文としてまとめているのが「『学校と地域』関係再考─中等教育を焦点として」です。紹介できる史資料を本欄で紹介します。論文の内容は「研究活動」欄で述べます。

以上です。

「高等教育無償化」という欺瞞

10月1日の消費税増税を合理化する理由として「高等教育無償化」が喧伝されている。これは本年5月17日の参議院本会議で「大学等における修学の支援に関する法律案」が可決されたことを受けて、政府および一部マスコミが高等教育が無償化されるかのように報じているものである。
しかしこれは人権保障としての「高等教育への無償化への漸進」と全く無縁な内容であることを強調しておきたい。可決された「大学等における修学の支援に関する法律」の要点は次のようになる。支援対象となる学生家庭の収入条件は、住民税非課税世帯・年収300万円未満世帯・年収300万円以上380万円未満の3区分とし、授業料減免(私立大学においては授業料減免の上限が70万円、入学金は25万円)と給付型奨学金を措置している。
ここで問題となるのは、現行の高学費・高授業料制度下では、既にこうした低所得層は大学進学機会を事実上失っているという実態と、さらにいえば中間所得者層は支援対象から除外されこれまで同様の高学費となるということ(つまり制度のリアリティの欠如)。それとともにむしろ各大学が独自に実施してきた経済困窮学生対象の救済措置(給与所得者840万円までが対象)は修学支援枠組みに一本化されるため、結果として現行制度が大幅に後退・改悪され、現在授業料減免を受けている学生に不利益が及ぶ事態となっている。
各大学はといえば、政府の喧伝する「高等教育無償化」に乗り遅れないようにと政府のいう修学支援に一本化すべく大学の制度的環境を整えているという情けない実態がある(政府の補助金を盲目の内に求める体質の大学へと変質するという別の意味での恐ろしい実態である)。支援対象となるために各大学に求められる機関要件とは、「実務経験のある教員による授業科目が標準単位1割以上」「法人理事に産業界の外部人材を複数任命」が盛り込まれていることである。みてお分かりのように、なんのことは無い「修学支援」名目の政府による財政誘導の大学統制にすぎないのである。「高等教育無償化」とはほど遠い実態を広く理解して頂くとともに、言葉の真の意味での「高等教育無償化」の政策展望と実現に向けた努力こそが求められているというべきであろう。

2020年度より新・荒井ゼミがスタートします。

2020年の4月から新・荒井ゼミがスタートします。2014年3月に閉鎖して以来、7年ぶりのゼミです。現在(2019年10月)ゼミ希望者の選考中です。やがてメンバーが確定すると思います。このページで、演習について報告します。前の荒井ゼミは1992年度~2013年度までの22年間でした。厳しく充実したゼミでした。新・荒井ゼミでは、今までに負けないくらいの「楽しく、かつ厳しいゼミ」を目指します。予定ですが、ゼミメンバーの確定次第「顔あわせ会」を実施します。そこからスタートです。3月に本格的に始め、4月には軌道に乗っていることと思います。これからいろいろ報告が始まりますが、どうぞよろしくお願いします。

 

「学生ブログ」開設について御挨拶

このページは、ゼミの学生諸君が自由に投稿できるページです。ゼミの発表内容・研究報告・卒論の概要など投稿してください。このページで活発な意見交換と論争ができることを期待しています。(荒井明夫)

2018年4月から2019年3月までの研究活動

少し戻りますが、2018年1月以降の研究業績の中で漏れがありましたので、その分を追加し、主として2018年4月以降2019年3月までの研究活動を紹介します。

①2018年2月14日・板橋区立高島第二中学校で「「特別な教科・道徳」にどのように向き合うか」講演しました。

②前項に書きました「専門学校成立史序説」が刊行(2018年4月)され、科学研究費成果報告書『2014(平成26)年度~2017(平成29)年度科学研究費補助金[基盤研究B課題番号26285181]近代学校の組織化に関する地域史的研究─就学行政の「勧奨」と「督責」の構造化」も刊行されました。

③同年5月25日開催・中等教育史研究会例会(於・名古屋大学)で「中等教育史研究における教育内容史研究の課題と展望」を報告しました。

④同年8月6日・9日開催・教員免許更新時講習で必修科目「学校をめぐる近年の状況の変化─道徳の「教科化」を題材にして道徳を考える─」の講義をしました。

⑤同年9月8日・9日開催・就学史研究会(就学督責研究会を改称)第一回研究会(於・大東文化会館)で報告しました。

⑥同年秋・2019年度科学研究費申請書類を作成しました。

⑦2018年度の調査は以下のとおりです。主として山口高等中学校史料調査・徴兵令認定学校関係調査・就学規則関係調査です。<山口県文書館・6月29-30日、静岡県立図書館・7月25-26日、茨城県立図書館・8月14-15日、沖縄県立図書館・公文書館・8月27-29日、大分県立図書館・文書館・9月1日-3日、宮城県立図書館・文書館・11月1日-2日、長野県松本市図書館・開智学校・11月9日-10日、2019年1月29日-30日、福島県立図書館・11月30日-12月1日、2019年1月11日-12日、青森県立図書館・2018年12月13日-15日>。

以上です。

東京新聞社会部記者・望月衣塑子さんに学ぶ

東京新聞社会部・望月衣塑子記者の執筆・共著になる3冊の本を読みました。「同調圧力」「出る杭は打たれる」という厳しい状況の中で、権力を監視するという記者の矜持を大切にして使命を実践する彼女の生き方に共鳴しました。これからも頑張ってほしいと思っています。同時に、集団の「同調圧力」が強まる中で、個人の主体性を発揮して生きることが難しくなっている世の中ではないでしょうか。望月さんが必死に闘っている記者の矜持は、集団が同調を求める中いかに自分を大切にするかという問題でもある。「これって教育の課題でもあるなあ~」と思いつつ読みました。

ホームページのリニューアルにあたっての御挨拶

みなさま。このホームページを約10年ぶりにリニューアルすることにしました。リニューアルする最大の理由は、2020年度から7年ぶりに「ゼミ」を担当することになったからです。新しいゼミの仲間は現在募集中です。新しいゼミの仲間とともに、「心機一転」学んでいきたいと考えています。そのため、ホームページをリニューアルしました。このホームページにもやがて「新しい荒井ゼミ」メンバーによる投稿が始まると思います。これを機会にどうぞよろしくお願いします。

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